その他・テレビ・インタビューなど/創作語録ピックアップ
シナリオの参考書・入門書などに書かれている脚本術に関することや印象に残った言葉を出典と共にピックアップしています。出典元はプルダウンメニューから選択してください。
フィクションとしてのシナリオ、物語とは、嘘の話をいかに本当っぽく語ってくれるかで、上手に嘘をついてくれた作品こそが「面白い」「説得力がある」ということになる。やはりプロは嘘のつき方がうまい。
出典:シナリオの書き方
①表と裏の顔の描き分けでドラマチックなシーンとなる。
②フィクション上の魅力と実生活での魅力とは一致しない。
③魅力的な人物を造形したら、あとはいかに戦わせるか。
④脇役は具体的な個性を強調することで描き分ける。
出典:シナリオの書き方
人物表は小説にはないシナリオ独特のルールです。物語の主人公が最初で、続いて副主人公、脇役、端役(チョイ役)の順に書きます。ただし、家族が出てくる場合などは、主人公とその家族、副主人公とその家族、というように並べて書く場合もあります。
人物表に書くのは物語の中で役者が実際に演じる人だけです。人物が誰かについて語る場合、その誰かが画面に登場しないなら人物表には書きません。ただし、回想シーンなどで亡くなった人などが登場する場合、役者が演じる訳ですから人物表に書く必要があります。
人物表はスタッフ、キャストのために便宜上書かれる、ということを忘れてはいけません。観客や視聴者は人物表を目にしないまま物語に入っていきます。ですから、人物表を書く際は脚本を読む人が最低限イメージできるように分かりやすく書く必要があります。人物名と年齢、職業や主人公との関係などを書くのはそのためです。例えば、
勝山金一郎(55) 金融業
勝山金一郎(25) 銀行員
では、同じ名前でも、年齢と職業で印象がずいぶんと違うことがわかります。
出典:シナリオの書き方
シナリオを志す人たちに行う実習上の順序は次の2つから始めます。
①文学的表現の排除
②演劇的表現の排除
それらが排除されたあとに、映像的ドラマができるのだと思います。
出典:シナリオの技術
大きなスケッチブックにこんな感じの人だという顔を描き、そこに思いつくままセリフやシーン、アクションなどをどんどん書き加え、その人物のダイジェスト版のようなものを作っていく。履歴書はほとんど作らない。
ドラマ史上最も○○なキャラクターという設定を考える。ドラマ史上最も性格の悪い主人公として『リーガル・ハイ』の古美門研介を作り、ドラマ史上最も無軌道な主人公として『コンフィデンスマンJP』のダー子を作った。
出典:新・週刊フジテレビ批評(2018/3/31放送)
『ハリー・ポッター』には、アドラー。
『スパイダーマン』には、ユング。
名作の鍵は心理学にあった。脚本家にとって魅力的な物語を作り出すためには、まず「人間の行動」を理解する必要がある。
ロバート・フロスト
山田洋次
2~3年前に、20代からアラフィフの女友だちが、みんな「彼氏が欲しい」ではなく「恋がしたい」と言っていて。それで恋をさせてくれっていうドラマをいつか書きたいな、と思っていたんです。
野木亜紀子(日刊SPA!インタビュー)
野木亜紀子(日刊SPA!インタビュー)
坂元裕二(CREAインタビュー)
坂元裕二(Yahoo!ニュース特集編集部インタビュー)
『カルテット』と『anone』は、僕の中であるひとりの10代の人に向かって書いたものです。迷った時はその子のことを思い浮かべながら書きました。指針、旗ですよね。どこに行けばいいかわからない時、旗が立っていると、明確にそっちに行こうとすることができるんです。
坂元裕二(CREAインタビュー)
男性を書く時の方がどうしても自分と重ねてしまうから、書きづらいです。「ここでこんなにテンション上がらないよなあ」とか「俺はこんなに勝手なことは言わないなあ」って不自由になってしまうところがある。でも、女性を書くときは、自由に書いてますね。
坂元裕二(CREAインタビュー)
本来は自分とは「違う人」だけれども、もしかしたら自分もそうなるかもしれない。そういう一面があるかもしれない。見た人がそんな疑似体験をできるのが、小説や映画、ドラマなど創作物の利点だと思います。
野木亜紀子(HuffPost Japanインタビュー)
坂元裕二(CREAインタビュー)
坂元裕二(CREAインタビュー)
本当に大事なことは脚本に書いてないこと。
そういう、自分の仕事の矛盾を面白がっているところがあります。
坂元裕二(TVBrosインタビュー)
今は東京で撮ることがすごく難しいんですよ。結果的に場所がどこなのかよくわからないツギハギみたいになってしまうし。地方だけど田舎の話ではないからリゾートにしたいなあっていう気持ちもありました。
▼『カルテット』のラストはいつ決めた?
お風呂に入ってる時に8話のラストで大倉孝二さん(刑事)が出てきて、もたいまさこさんに「あの女は誰でもない女です」というシーンから、最終回のみんなで歌う所まで全部のプロットがバッと一気に自分の中で組み上がりました。
坂元裕二(CREAインタビュー)
アーネスト・ヘミングウェイ
おっこ(主人公・関織子)が自分で気付いたり、自分で考えたり、自分で決めることが大切だと思い、他人からの押し付けにならないように気を付けました。
吉田玲子(ねとらぼインタビュー)
脚本家が何を一番多く書いているかというと、登場人物の「名前」。常に目にするものだから、身近だし、そこから言葉が呼び起こされるわけだから、しっくりこない名前だと自分が気持ち悪いんです。
ドラマの第1話は、決定稿までにだいたい5稿か6稿書くんですけど、名前は最後まで決まらないことが多いです。
「名は人を表す」という占いみたいなことを信じているので、登場人物の輪郭が決まらないと名前も決まらないし、名前がうまくいかないと最後まで人物が掴めなかったりする。「こういう役なのかな?」と探りながら名前を決めていきますね。
▼名前に使う漢字にもこだわりがありますか?
漢字の字面や、ひらがなにするか、カタカナにするか、バランスとかは気にしますね。一行目にフワフワした字があると気持ち悪いので、カチッと収まりのいい字を選んで名前を決めます。
キャストやスタッフが読みやすいってことも大事ですね。似たような字面が並んでると、誰のセリフなのかいちいち意味を理解しなきゃいけなくて、スイスイ読めないんですよ。
登場人物が4人いたら、漢字二文字の名前、一文字の名前、ひらがなの名前、カタカナの名前、って分けたりしますね。字面が記号的だったり、顔のようになってると、読みやすいんじゃないかなって。
もちろん実際にドラマになった時は音として届くわけだから、その前提があった上でのことですけど。
坂元裕二(CREAインタビュー)
坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)
坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)
自分が書きたい人物像を描いているうちに、これはこういう部分で社会とつながっていたんだって気付くというか、社会ありきで人物を書くんじゃなくて、この人は何を葛藤しているんだろうっていうことを考えているうちに、社会とか世の中とつながってきて、人が人のことをいろいろ広げていくと、どうしても社会がそこで待っているというか……
坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)
坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)
坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)
坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)
川村元気(NIKKEI STYLEインタビュー)
大石静(MANTANWEBインタビュー)
堀井雄二(CEDEC+KYUSHU 2018基調講演)
ドナルド・バーセルミ
スティーヴン・スピルバーグ
ジョン・トゥルービー
野木亜紀子(コンフィデンスアワード2018 脚本賞受賞インタビュー)
古沢良太(NTTコムウェア/コラム)
古沢良太(NTTコムウェア/コラム)
古沢良太(NTTコムウェア/コラム)
古沢良太(NTTコムウェア/コラム)
古沢良太(NTTコムウェア/コラム)
古沢良太(NTTコムウェア/コラム)
瀬尾まいこ(文藝春秋5月号・本屋大賞受賞インタビュー)
森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー)
プロデューサーから「こんな話をやりたいです」とお話を頂き、それを受けて手段や方法を提案することが多いです。
『ごちそうさん』はどういうところから企画を立てていったかというと……最近の朝ドラでは「女性が目標を持って何かを達成する」というのが定型になっていますが、「今の女の子には目標達成は最上の幸せではないのでは? 違う幸せのモデルを描けないか?」という問いかけがプロデューサーからあったんです。そこで名もなき夫婦の幸せな毎日そのものを目標・テーマとするという方向性が定まりました。そこに料理というモチーフが加わり、主人公の夫である悠太郎の職業を考えたとき、人間の生活でまず大切なのは料理(食事)、次に大切なのは住居だから建築関係の仕事にする、など夫婦の形でまた違った意味を発信することが出来るようにしました。
企画は本当に小さな種で良いです。一人でそれを大きくしていくことが出来る人も居ますが、私自身は「最近こういうことあって……」とか「こういうことを思っていて……」とか、人と話すことで大きくなることが多いですね。
森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー)
森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー)
伏線を張るのには技術が必要です。自分ですごく巧妙に出来たと思っていても視聴者の方に先に読まれてしまうこともあります。それよりも振り返ると結構いろいろなネタが落ちている。自分で読み返して拾ってくることが多いです。
森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー)
インプットはあちこちでします。面白い記事があったらプロデューサーに共有しますし、ドキュメント作品などもキャラクターの宝庫なので見た方が良いです。漬け込んでおくネタとしては、キーワードみたいなものをメモしています。例えば、「とんぼを切る」という言葉。歌舞伎の名もない役者さんのする宙返りのことなんですけど、とんぼをたくさん切って体を壊して引退する人もいるんです。引退後の保証もなく、それでもひたすらとんぼを切り続けて舞台を去っていく人がいるという話を聞いた時に、このキーワードだけでお話が出来るんじゃないか、と思いました。
森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー)
富野由悠季(宝塚大学東京メディア芸術学部・特別講演)
『仕事。』という対談集で、宮崎駿さんや坂本龍一さんなど、巨匠たちに「30代の頃、何をしていましたか?」って聞いて回ったんです。そしたら皆さんに割と共通点があって。人から突拍子もない企画を振られたり、偶然やる羽目になったりした時に、ブレークスルーがあることに気付いたんです。なので、「できないです、無理です」と言いながらも、そのことについて考えているうちに、斬新なアイデアを思い付く。やり始めると誰よりもムキになって頑張って、やがて新しいところへたどり着く。「自分のやりたいこと」にこだわる今のトレンドとは逆かもしれないですけど、「僕はこれをやりたい」と選んだ道は緩やかな下り坂な気もしていて、むしろ過剰に主体性を持たないほうがいいんじゃないかと思っています。
川村元気(Yahoo!ニュースインタビュー)
見たいものは、二つあるんです。一つは『集合的無意識』。みんなが感じているけれど、なぜだかまだ表現されていないもの。もう一つは、最先端のテーマを古典的な手法でやること。そういうものは、ユニバーサルに届くんじゃないかと思っています。
川村元気(Yahoo!ニュースインタビュー)
野島伸司(マイナビニュースインタビュー)
かつて映画プロデューサーのマキノ光雄さんが、「この映画は『ドラマ』があっても『チック』がない」と言いました。ドラマチックという言葉を分解したんですね。僕は、テレビドラマこそ「チック」が重要だと思っているんですよ。要するに映画はドラマ、つまりストーリー展開を主体に見るんですが、テレビの場合は細かなニュアンスの積み重ねで成立している気がするんですね。
いまはテレビもストーリーを追うものばかりになっていますが、僕は人間を見たいから、人間から入る。その人の立ち居振る舞いや言葉遣い、そこから人格とか奥ゆかしさとか、そういったものが伝わるでしょ。
倉本聰(Yahoo!ニュースインタビュー)
登場人物の全員に対してフェアでいたい。全員の気持ちをフェアに考えたいんです。今回のドラマでも、主人公に苦言を呈する人を嫌なふうに描くのは簡単なんですが、その人の言っていることも真っ当だと思えるふうにしたいんです。
岡田惠和(文春オンラインインタビュー)
森下佳子(文春オンラインインタビュー)
ポン・ジュノ(CINEMOREインタビュー)
ポン・ジュノ(ポン・ジュノ監督×是枝裕和監督 スペシャル対談)
ポン・ジュノ(ポン・ジュノ監督×是枝裕和監督 スペシャル対談)
観客の息が苦しくて耐えられないくらいの限界まで引っ張って、ある瞬間に何かが弾けた後は、繰り広げられる状況が急激に滝のようにあふれ出て、追いかけていくのも息が詰まるような、そんな急激なテンポの変化。シナリオを書きながらも、そのリズムはよく考えます。
私はシナリオを書くときに、このシーンで観客を笑わせたいという目標のようなものは全くありません。俳優たちも「ここは笑いのポイントだ」といったアプローチはしません。俳優さんたちは、「事実」に沿ったトーンを演じる、いわば表現に余裕がある俳優たちです。
ポン・ジュノ(ポン・ジュノ監督×是枝裕和監督 スペシャル対談)
古沢良太(ライブドアニュースインタビュー)
古沢良太(ライブドアニュースインタビュー)
脚本家に求められる資質は……いっぱいありますけどね。脚本を書くのはすごく孤独な作業です。ひとりで自分の世界に深く潜って、ものを作っていく。そういう孤独な時間を楽しめる人ですね。
それと矛盾するんですが、脚本は共同作業でもあるんです。脚本家はみんなで作っていく作品の設計図を描く人なので、ちゃんと他人の意見を取り入れ、みんなと仲良くやっていく。その両方ができる人。
客観的な意見を聞いて、自分が書いたものを見直し、関わっているスタッフが前向きに作っていけるものに昇華させていく。最初に自分が書いたものにこだわりすぎるようなつまらないプライドとかはいらなくて、その過程を楽しめるほうがいいと思うし、二面性が必要なんじゃないでしょうか。
古沢良太(ライブドアニュースインタビュー)
いったん因数分解して、頭をクールにしたうえで書き出すと、あら不思議。こうすればここにたどり着くんだというのが見えてきます。脚本家を30年以上やってきて、やっと分かってきました。
中園ミホ(NIKKEI STYLE)
古いものや場所、そういうものを守っていくというのは、いずれ古くなる自分たちを守ることでもあるはずです。そういうことが認識されないまま社会から無駄が省かれていくと、私たちの社会はどんどん生きにくいものになってしまう気がします。
誰だって経済だけに育てられたわけじゃないはずです。人間とはどういうもので何が必要なのか、根っこの部分から考え直していかないと、理屈の上での合理性が常に勝ってしまうと思うんです。
こうしたことは何も今を生きる私たちがはじめて直面しているわけじゃなくて、人間が歴史の中でずっと考えてきたことのはずです。そういうことを学び、思い出していく作業が大切かもしれません。
でも結局、その人も人間ですので、どこかに糸口はあるはずです。問題意識を持って作品を作り、それが共有されれば、また人を信頼できるようになっていきます。そうすれば、目の前の人を私はやっぱり大好きなんだと思えてくる。そういうことをこれからもドラマで描いていきたいです。
明確な説明を脚本に落とし込まなければならなかったため、執筆の段階も難しく、編集の段階でもとても難しかった。なぜならそれは“何が起きているのか観客がストレスなく理解できること”と“ストーリーの勢いをキープすること”のバランスを取ることだったから。
ルールについて語ると勢いを殺すことになりがちだ。だから、ルールをアクション/ストーリーを通して説明する方法を見いだすというのが、本作の制作において僕たちが引き受けることになった困難な挑戦だった。僕たちがそのバランスを達成していて、ほとんどの観客に作用するものになっていればいいのだけれど。
でも、やっぱり難しいよ。人間は“どれだけ説明されたいか”という点でそれぞれに差があるし、むしろ僕たちは皆、実際に経験する方を好ましく感じると思う。だけど、ストーリーのジェットコースターに乗るにはちょっとした情報が必要だ。だから全てはバランスだね。
たくさんの実験を何度も何度も繰り返すことでそのバランスを見つけるんだ。
僕は脚本を書いては書き直してということをケタ外れに何度も繰り返した。キャラクターたちが物事を説明しようと互いに話すシーンは特にね。
そして編集にはものすごく時間を掛けた。バランスを強化しようとやったことの一つは、シーンをカットする前に映画全体を観るということ。僕たちはそれらを一つ一つのシーンではなく、映画全体の文脈として観ていたんだ。そうしてストーリーの勢いという観点から、今は立ち止まってちょっと話を聞くものにするべきなのか、もしくは物事をどんどん進めてそこに参加させるものにすべきなのかを考えていった。
脚本執筆前に、時間の逆行についての確固としたルールは作らなかった。基礎は作ったよ。その後にやらないといけないのは、物語を意味があり、うまく作用するものにすること。その時に確固としたルールが必要になってくる。『インセプション』を書いた時もそうだった。
僕は、自分が作り上げるルールを制約ではなく、可能性として見るようにしている。どのような特定のルールがそのストーリーを僕に語らせてくれるか、どのような特定の興味深い指示が僕を限界に挑ませてくれるかとね。
例を挙げるなら、本作で扱っているアイデアの一つは“エントロピー(※熱学上の概念)&世界vs.エントロピー&個人”の関係だけど、これは執筆を始めた時に考えていたわけではない。だけど『インターステラー』でも共に仕事をした偉大な物理学者キップ・ソーンと時間に関して議論をするうちに、本作においてとても重要なストーリーの要素となる“エントロピー&世界”そして“世界の時間の向きvs.個人”というアイデアが出た。そしてそれによって、僕が予想もしなかったような非常にドラマチックなシチュエーションを生めることになったんだ。つまり、ルールとストーリーは、本作を作り上げるにあたって同時に発展していった。
クリストファー・ノーラン(シネマトゥデイ)
TBSの磯山さんから「アンナチュラルチームで新作を」「野木さんはずっと女性ドラマを書いているので次は男同士のバディものにしては?」と言われた。《中略》機動捜査隊は常にバディで行動するので、じゃあそれで考えてみようかとなった。
■『MIU404』架空の部署に設定した理由
現実の警視庁は1~3機捜まであるが、どこも大所帯でその全体を見せるのは大変。架空の部署の方が現実に遠慮せずある程度フィクションとして描ける。『アンナチュラル』よりもフィクション度を上げようと思っていたので架空の設定にとお願いした。
■『MIU404』創作で意識した作品
海外のバディ作品『刑事ナッシュ・ブリッジス』『48時間』『リーサル・ウェポン』シリーズなど、観た当時の記憶を手繰り寄せた。あとはBBC版『SHERLOCK』こちらも記憶の範囲内。刑事ドラマ内のジャンル分けとしては『踊る大捜査線』寄りの警察ドラマ。
アイデアのストックは貯めてもすぐに古くなります。《中略》社会問題を扱うのは軽い気持ちではできないし、全方位に気を使うので大変です。現実の社会問題を雑に扱って実在する被害者を傷つけるようなことは避けたいので、実在の事件をそのまま使うようなことは基本しません。
■『MIU404』第4話について
「眼」は後から思いついたモチーフです。塚原さんが「薬局で働いてる友人が、銃で撃たれた人が止血してくれって入ってきたらしい」というエピソードを話してくれて、「その導入すごいな」というところから。
4話で苦労したのは、機捜を事件にどう絡ませるかという部分でした。監修の元機捜の方達に、「これなら関われるか」「これはあり得るか」というのを何度もしつこくヒアリングして、組対・機捜・機捜の隊長・刑事部長の4者の動きを現実的にあり得るラインまで持っていくのが大変でした。
テーマやモチーフにどう向き合うか……脚本を書く時には常に何かしらの手がかりを自分で見つけ、それを元に書かないと書けません。《中略》脚本家によるとは思いますが、自分の場合はプロットから全て自分で作らないと気が済まないし、自分なりのテーマやモチーフが掴めないと書けない。
野木亜紀子(月刊ドラマ11月号インタビュー)
これまで書いてきた作品では最終回の直前まで自分でもどんな結末になるか分からないまま書くことが多く、それを良しとしてきた所もあったので、『俺の話は長い』第1話の段階から最終回のイメージを持って書くというのは初めての体験で新鮮でした。
初めてと言えば《30分2本立て》という新しいチャレンジをした作品でもありました。最初は「面白そう」と気楽に考えてましたが、話のネタとオチが通常の1時間ドラマの2倍必要で、アイデア出しには本当に苦労させられました。
元警察官の方など、通常より多い4人ほどの監修者についていただき、勉強になりましたね。それぞれの年代、いた部署によって見方も違いましたし、そのお話が興味深かったです。例えば、警察には無線大会、職質大会などいくつか大会がありまして、それを入れるつもりで取材していたのに話数が減ったことで描けなかったのは残念です。ただ、刑事ものはやっぱり大変。現実にありえるラインでエンタメとして構築するのには苦労しました。
脚本家から見ると、完成度では『アンナチュラル』の方が高く、図形で言えば正円のイメージ。今回はその円からけっこうはみ出しているんですよ。でも、そのはみだしが勢いとか面白みになって、それはそれで良かったと思いますね。飛び出しの多いドラマ、それが『MIU404』でした。
■今後NHKの朝ドラや大河ドラマを執筆する可能性は?
半年や1年にわたる帯ドラマも、その長さを使って書きたいことが見つかればやってもいいけれど、それがなければ書こうとは思わない。もしやっても息切れするだけだと思うんですよね。やる気が感じられないものを長く見せられる方も苦痛だろうし。枠のステイタスよりも、描きたいものに合う枠で書いていきたいです。
野木亜紀子(ドラマアカデミー賞・脚本賞受賞インタビュー)
アイデアが生まれず悶々としたり、暗礁に乗り上げたりと難航することも茶飯事だけれど、三度の飯よりそれが楽しくてしかたがないから何十年も続けられています。もしも世界が滅びそうなときに、主人公は魔法や特殊能力を持たず、救世主たりうる美少女の友だちも持たず、かといってここで万策尽きるわけにもいかないとしたら、何を武器に闘って生き延びるのか。そんなアイデアばかりを寝ても覚めても、犬と散歩をしているときにも妄想しています。
P.A.WORKS代表堀川(設立から20年間を振り返って)
『MIU404』は、末端の刑事たちを描くことで、「こうあるべき」という姿を見せるドラマにしようと思っていました。今までの刑事ドラマで「巨悪」を描いてきて、結果どうなったかというと、社会は変わらなかったし、権力側の不祥事を見ても「ああそんなもんか」といつの間にか慣れてしまってたんじゃないかと。それよりも、ルールは絶対に守る、公文書は破棄しないという、本来あるべき姿を描いていれば、それが当然だという空気になるかもしれない。
もし実際の社会に、ルールを破る警察が出てきたり、公文書を破棄する官僚が出てきたら、「それはダメでしょう」という空気になるだろうと思うからこそ、私は、そっちの方を描いたし、むしろ今はそのほうが意義があると思ったんですね。
野木亜紀子(マイナビニュース・インタビュー)
日ごろから、見たものや感じたものを、もやーっとしたままにせず、頭の中だけでもいいので言葉にしてみるといいと思います。また小説や漫画、映画などの好きな登場人物の1日を、自分なりに想像するのもいいかもしれません。
小説や漫画、映画などたくさんの創造物に触れてください。そして楽しんで書いてください。絶対に無理はしないで。最後まで自分が思うとおりに書ききれなくても構いません。諦めずに、次に思いついたものがあれば書いていきましょう。焦る必要はありません。
三浦しをん(毎日新聞/三浦しをんさん流「小説の書き方」)
原作はどれも短編で、49分のドラマにするにはどれも短いため、全話を通して1本の物語とする縦軸をつくり、オリジナル要素も入れつつ、物語全体を再構築しました。今回はNHKの地上波で、子どもから大人まで幅広い層の方が観る、原作漫画やアニメを知らない方も観る、ということを前提に、主人公の岸辺露伴がどんな人物なのか説明するシーンも必要です。そこで第1話『富豪村』の原作に出てくる露伴の担当編集者・泉京香(飯豊まりえ)を全話に出したいと提案しました。そのほか、実写に即した描写へ変更する際も、“ジョジョ”の世界を壊さないように、相談しつつ進めていきました。
子どもの頃からアニメや仮面ライダー作品を観て育ってきたので、キャラクターをどう見せていったらいいか、子どもの頃から刷り込まれているんでしょうね。商品化される玩具を取り入れたストーリーを考えるのは得意ですが、恋愛小説を書けと言われたら書けないかもしれないです。そもそも文章を書くことが好きではないですし…
文章というか、小説の地の文が苦手。せりふを考えるのは好きなんです。だからシナリオは書ける。ト書きには美しい文章や独特な表現はいりませんからね。小学生の頃からノートにせりふのやり取りだけを書いて、脳内で映像化して楽しんでいました。作家や脚本家は自分の表現したいことや自分にしか書けないものを持っているイメージがあるのですが、私はそういうタイプではないんですね。だから自分のことを作家とも脚本家とも思っていないんです。強いて言えば“脚本士”。作品やキャラクターの魅力を映像的にどう伝えるべきかを考えて、これまで培ってきたシナリオライティングの技術を駆使してそれを実現する。そこに自分らしさは必要ないというか、全く意識していないですね。
ハリー・フーディーニ
ライナス・ポーリング
スティーブ・マーティン
ネッド・ローレム
花田十輝(アニメ脚本家の実像に迫る/花田十輝インタビュー)
スザンヌ・ランドン(AERA dot.インタビュー)
「仕事は一日も休んではいけない」
彼にいわせればシナリオを書く作業は、42.195キロを走るマラソン競走に似ているという。頭を……顔を上げてはいけない。目線はやや伏せ目で、前方の一点を見つめ黙々と走る。こうして顔を上げず、ただひたすら走り続けていればやがてはゴールに到達する。
映画も同じで、説明しなきゃ分からないことを説明しても、映画では観客には分からず、説明は一切不可能であり、その本質的な部分で、両者はひどくよく似た共通点があるという。
黒澤組の共同脚本とは、同一シーンを複数の人間がそれぞれの眼(複眼)で書き、それらを編集し、混声合唱の質感の脚本を作り上げる――それが黒澤作品の最大の特質なのである。
時代は変わっても人間の本質は変わらないから、結局は面白いものが求められる。これは、半ば願望でもある。変わらないでいてほしい。そうでなきゃ、世の中どんどんつまらなくなっていく。時代に合わせたといえば、規制を逆手に取って面白くしてるところかな。
今は劇中で酒もたばこもダメ。だから苦肉の策で“空想の酒”というのを出した。猿原って男が存在しない酒を、あるかのように飲み続けるという……、でもそれが結果的にキャラを強くした。マイナスをプラスに変えるのも脚本家の腕の見せどころかな。
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