シナリオ公募ナビ|脚本コンクールの募集・公募情報をまとめ

シナリオコンクール/脚本賞の公募情報をまとめた、シナリオライター・脚本家・作家・映画監督・漫画原作者などを目指す人向けのサイトです。
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その他・テレビ・インタビューなど/創作語録ピックアップ

脚本術・シナリオ入門語録 ピックアップ

シナリオの参考書・入門書などに書かれている脚本術に関することや印象に残った言葉を出典と共にピックアップしています。出典元はプルダウンメニューから選択してください。


その他/インタビューなど
リアリティがあれば作品の説得力となる。例えば、象が空を飛んでいると言っても人は信じてくれないだろう。しかし、4257頭の象が空を飛んでいると言えば、信じてもらえるかもしれない。(ガルシア・マルケス)

フィクションとしてのシナリオ、物語とは、嘘の話をいかに本当っぽく語ってくれるかで、上手に嘘をついてくれた作品こそが「面白い」「説得力がある」ということになる。やはりプロは嘘のつき方がうまい。

出典:シナリオの書き方

《キャラクターに魅力を与え感情移入させる》
①表と裏の顔の描き分けでドラマチックなシーンとなる。
②フィクション上の魅力と実生活での魅力とは一致しない。
③魅力的な人物を造形したら、あとはいかに戦わせるか。
④脇役は具体的な個性を強調することで描き分ける。

出典:シナリオの書き方

《脚本に添える「人物表」について》
人物表は小説にはないシナリオ独特のルールです。物語の主人公が最初で、続いて副主人公、脇役、端役(チョイ役)の順に書きます。ただし、家族が出てくる場合などは、主人公とその家族、副主人公とその家族、というように並べて書く場合もあります。

人物表に書くのは物語の中で役者が実際に演じる人だけです。人物が誰かについて語る場合、その誰かが画面に登場しないなら人物表には書きません。ただし、回想シーンなどで亡くなった人などが登場する場合、役者が演じる訳ですから人物表に書く必要があります。

人物表はスタッフ、キャストのために便宜上書かれる、ということを忘れてはいけません。観客や視聴者は人物表を目にしないまま物語に入っていきます。ですから、人物表を書く際は脚本を読む人が最低限イメージできるように分かりやすく書く必要があります。人物名と年齢、職業や主人公との関係などを書くのはそのためです。例えば、

勝山金一郎(55) 金融業
勝山金一郎(25) 銀行員

では、同じ名前でも、年齢と職業で印象がずいぶんと違うことがわかります。

出典:シナリオの書き方

《映像表現方法の会得と矯正》
シナリオを志す人たちに行う実習上の順序は次の2つから始めます。
①文学的表現の排除
②演劇的表現の排除
それらが排除されたあとに、映像的ドラマができるのだと思います。

出典:シナリオの技術

《古沢良太氏のキャラクターの作り方》
大きなスケッチブックにこんな感じの人だという顔を描き、そこに思いつくままセリフやシーン、アクションなどをどんどん書き加え、その人物のダイジェスト版のようなものを作っていく。履歴書はほとんど作らない。

ドラマ史上最も○○なキャラクターという設定を考える。ドラマ史上最も性格の悪い主人公として『リーガル・ハイ』の古美門研介を作り、ドラマ史上最も無軌道な主人公として『コンフィデンスマンJP』のダー子を作った。

出典:新・週刊フジテレビ批評(2018/3/31放送)

『スター・ウォーズ』には、フロイト。
『ハリー・ポッター』には、アドラー。
『スパイダーマン』には、ユング。
名作の鍵は心理学にあった。脚本家にとって魅力的な物語を作り出すためには、まず「人間の行動」を理解する必要がある。

出典:脚本を書くために知っておきたい心理学

読者を泣かせたきゃ、まず作家自身が泣け。読者を驚かせたきゃ、まず作家自身が驚け。

ロバート・フロスト

拙いシナリオからは、どんな名監督の手にかかっても、良い作品は生まれない。徹底したディテールと構造の考察が、傑作を生むことを教えてくれる。

山田洋次

《ドラマ『獣になれない私たち』が生まれたきっかけは?》
2~3年前に、20代からアラフィフの女友だちが、みんな「彼氏が欲しい」ではなく「恋がしたい」と言っていて。それで恋をさせてくれっていうドラマをいつか書きたいな、と思っていたんです。

野木亜紀子(日刊SPA!インタビュー

客観的じゃないと脚本って書けないですよね。私小説とかはインナーワールドなものだと思いますけど、脚本にはやっぱりロジックが必要で、客観性が大事だと思うんです。たとえばすごく感情的なシーンがあったとしても、その裏には客観的なロジックや技術がある。優れた作品ってみんなそう。脚本は気持ちだけでは書けないと私は思います。そうやって書いている人もいるかもしれないけれど。

野木亜紀子(日刊SPA!インタビュー

僕は脚本を何回も何回も直して、常に引き返しながら書くんです。現場からの注文を受けて直すのも好きだし、セリフの語尾の微調整とかも楽しくて仕方なくて、ずっとやっていられる。昔から勢いで書くタイプじゃなかったから、今もあんまり変わらないのかもしれないです。

坂元裕二(CREAインタビュー

《1996年の休業宣言の後、テレビ界に戻ったきっかけは?》 『きらきらひかる』(1998年)というドラマを観たんです。脚本を井上由美子さんが書かれていて、「こんなに面白いテレビドラマもあるのか」と思ったらまた書いてみたくなって、自分から戻りました。

坂元裕二(Yahoo!ニュース特集編集部インタビュー

僕個人としては常に10代の人たちに観てもらいたいと思って書いていますし、公共の電波で流しているということも意識しているので、テーマとか答えを提示するようなお話にはしたくないし、できるだけ真面目に、真摯に作りたいなとは思っています。

『カルテット』と『anone』は、僕の中であるひとりの10代の人に向かって書いたものです。迷った時はその子のことを思い浮かべながら書きました。指針、旗ですよね。どこに行けばいいかわからない時、旗が立っていると、明確にそっちに行こうとすることができるんです。

坂元裕二(CREAインタビュー

女性のセリフが書けてるかどうかは自分ではあんまりわからないです。僕は男女で分類しないで書いていて、男女でセリフの語尾も変えないんです。特別な存在ではなく、個々の人物として書けば「女性が書けてるね」って言われるのかなあって勝手に想像しているんですけど。

男性を書く時の方がどうしても自分と重ねてしまうから、書きづらいです。「ここでこんなにテンション上がらないよなあ」とか「俺はこんなに勝手なことは言わないなあ」って不自由になってしまうところがある。でも、女性を書くときは、自由に書いてますね。

坂元裕二(CREAインタビュー

ドラマは、「共感」を生むコンテンツだとよく言われます。共感とは、自分と似ているということだけではなく、自分とは遠くの立場にいる人の気持ちもわかるようになることだと私は考えています。

本来は自分とは「違う人」だけれども、もしかしたら自分もそうなるかもしれない。そういう一面があるかもしれない。見た人がそんな疑似体験をできるのが、小説や映画、ドラマなど創作物の利点だと思います。

野木亜紀子(HuffPost Japanインタビュー

最初に大きなストーリーみたいなものもなんとなく決めるんです。でも脚本を書き始めると、1行1行その登場人物になりきってしまうので、書きながら「こんなことが起きてしまって、一体どうすればいいんだろう?」とひとつひとつ対処していくしかなくて。悩むんですよね。

坂元裕二(CREAインタビュー

タランティーノは特別に好きってわけじゃないですけど、映画『ジャンゴ 繋がれざる者』のクリストフ・ヴァルツがやってる役(ドクター・キング・シュルツ)はほんとに好きで、ここ十何年で一番感動した登場人物なんです。

坂元裕二(CREAインタビュー

しゃべってる言葉よりも、しゃべらなかったことに意味があるというつもりで、本当のことを隠すために、逆に言葉の量を多めに書こうと心がけてます。
本当に大事なことは脚本に書いてないこと。
そういう、自分の仕事の矛盾を面白がっているところがあります。

坂元裕二(TVBrosインタビュー

▼ドラマ『カルテット』の舞台を軽井沢にしたのはなぜ?
今は東京で撮ることがすごく難しいんですよ。結果的に場所がどこなのかよくわからないツギハギみたいになってしまうし。地方だけど田舎の話ではないからリゾートにしたいなあっていう気持ちもありました。

▼『カルテット』のラストはいつ決めた?
お風呂に入ってる時に8話のラストで大倉孝二さん(刑事)が出てきて、もたいまさこさんに「あの女は誰でもない女です」というシーンから、最終回のみんなで歌う所まで全部のプロットがバッと一気に自分の中で組み上がりました。

坂元裕二(CREAインタビュー

自分の心を動かしたものを、そして心を震わせた行動を見つけ出して、書く。そして、読者にも同じものが見えるようにしてやるのだ。

アーネスト・ヘミングウェイ

▼映画『若おかみは小学生!』の脚本を手掛ける中で、何か挑戦したことや自身に課したものはありますか?
おっこ(主人公・関織子)が自分で気付いたり、自分で考えたり、自分で決めることが大切だと思い、他人からの押し付けにならないように気を付けました。

吉田玲子(ねとらぼインタビュー

▼登場人物の名前はどのように決めるんですか?
脚本家が何を一番多く書いているかというと、登場人物の「名前」。常に目にするものだから、身近だし、そこから言葉が呼び起こされるわけだから、しっくりこない名前だと自分が気持ち悪いんです。
ドラマの第1話は、決定稿までにだいたい5稿か6稿書くんですけど、名前は最後まで決まらないことが多いです。
「名は人を表す」という占いみたいなことを信じているので、登場人物の輪郭が決まらないと名前も決まらないし、名前がうまくいかないと最後まで人物が掴めなかったりする。「こういう役なのかな?」と探りながら名前を決めていきますね。

▼名前に使う漢字にもこだわりがありますか?
漢字の字面や、ひらがなにするか、カタカナにするか、バランスとかは気にしますね。一行目にフワフワした字があると気持ち悪いので、カチッと収まりのいい字を選んで名前を決めます。
キャストやスタッフが読みやすいってことも大事ですね。似たような字面が並んでると、誰のセリフなのかいちいち意味を理解しなきゃいけなくて、スイスイ読めないんですよ。
登場人物が4人いたら、漢字二文字の名前、一文字の名前、ひらがなの名前、カタカナの名前、って分けたりしますね。字面が記号的だったり、顔のようになってると、読みやすいんじゃないかなって。
もちろん実際にドラマになった時は音として届くわけだから、その前提があった上でのことですけど。

坂元裕二(CREAインタビュー

多数派か少数派かって言ったら少数派のために書きたい。それが一番大きいですね、僕は。こんなふうに思う人は少ししかいないっていう人のために書きたい。「ああ、私だけが思っていたんじゃなかったんだ」って。10元気な人が100元気になるための作品はたぶんたくさんあるけど、僕はマイナスにいる人がせめてゼロになる、マイナス5がマイナス3になるとか、そこを目指している。

坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)

小さい積み重ねで人間っていうのは描かれるものだから、僕にとっては大きな物語よりも小さいしぐさで描かれている人物をテレビで見るほうがとても刺激的だなって思うんです。

坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)

脚本を書くとき、テーマや劇的な展開ありきで物語を作ることはない。
自分が書きたい人物像を描いているうちに、これはこういう部分で社会とつながっていたんだって気付くというか、社会ありきで人物を書くんじゃなくて、この人は何を葛藤しているんだろうっていうことを考えているうちに、社会とか世の中とつながってきて、人が人のことをいろいろ広げていくと、どうしても社会がそこで待っているというか……

坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)

こういうとき(書けないとき)はこうやって書けば面白くなるんだっていう自分の過去のストックの中から出してきちゃう。集大成とか言われたらもうダメなの。それは自分の未知なる泉が枯れちゃってるから、汲んである水で作ってるから集大成とか言われちゃうんです。できることなら集大成とか言われないように作りたいって思うんだけど、最近ちょっと言われる。

坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)

言葉が生きてこない。生きた言葉が出ない。感情が生まれない。長セリフが書けない。もしそこに、僕の心が動くものとか社会に通じそうな気配を感じたら、言葉が出てくるはず。

坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)

才能とかそんなのってあんまり当てにならないし、何かひらめくっていうことも当てにならない。そういうときに本当に書かせてくれるのはその人が普段生活している中から出てくる美意識とか、自分が世界とちゃんと触れ合っていないと生まれないから、やっぱりパソコンに向かってるだけとか飲んでるだけとか、そういうことじゃ生まれないと思います。

坂元裕二(プロフェッショナル 仕事の流儀/2018年11月12日放送)

結局「自分が見たいものを作る」しかない。目に見えない大衆にインタビューはできない。だから、大衆の1人である自分がシネコンに行ったときに、あまたある映画の中からこの映画を見たいのか、という基準でシビアに考える。そうすると企画が自然と重層的に強化されていく。

川村元気(NIKKEI STYLEインタビュー

普段人が言わないようなことを言うと、「ん?」って気になるじゃない? リアルなセリフだけだと、どんどん聞き流れていくんだけど、時々、絶対人が言わないような刺激的なことを混ぜ込むのが、私のテクニック。

大石静(MANTANWEBインタビュー

例えば転校生がやってくるとします。その場合「すごいやつが来るよ」と思わせるようなセリフをたくさん用意しておくんです。その後で、実際にやってきた転校生がヒョロヒョロだったら、プレイヤーは「どういうこと?」と思って気になる。こうしてキャラクターを立てていくわけです。

堀井雄二(CEDEC+KYUSHU 2018基調講演

あなたが恐れているものを、書きなさい。

ドナルド・バーセルミ

25ワード以下で説明できるアイデアは、いい映画になる。映画にするなら特に、手の中に収まるアイデアが私は好きだ。

スティーヴン・スピルバーグ

「書けば人生が変わるだろう」と言える脚本を書きなさい。売れる保証はない。だが、少なくとも、あなたの人生は変わる。

ジョン・トゥルービー

基本は“自分が観たい作品”を作っています。『アンナチュラル』も自分が観たかったドラマ。奇をてらうという意味ではないんですけど、いわゆるテンプレートにハマりすぎないというか。事件モノが世のなかに溢れている中で、誰にもやられていないネタなんて、もはやほとんどない。しかしそのなかでも、ベタに陥らない物語を描きたいという気持ちがありました。常に既視感との戦いです。

野木亜紀子(コンフィデンスアワード2018 脚本賞受賞インタビュー

知識やアイデアのストックがあるなら、失敗を恐れずにアウトプットしてみる。

古沢良太(NTTコムウェア/コラム

「理想の実現」よりも、「制約の中で全力を尽くす」のがプロの仕事。

古沢良太(NTTコムウェア/コラム

何も思いつかなくても、とりあえず何かを書いてみる。自分で「つまらない内容だな」と思いながらも書き進めていくと、「ここをちょっと変えてみたらおもしろくなるかな」ということを思いついて、少しずつ修正を繰り返していくと「何とか許せるかな」と思えるレベルには持っていけるんです。いまいち良くないと思えるアイデアでも、諦めずに細部を少しずつ改良していくことで、何とか合格点をもらえるぐらいにはできる。最初から素晴らしいアイデアなんて、なかなか出てきませんよね。

古沢良太(NTTコムウェア/コラム

脚本を書く時も、「こんなドラマがあったらみんな楽しめるんじゃないかな」と考えて、なるべく制約をつくらずに、おもしろそうなことを自由に発想して楽しみながら書くことを心がけています。脚本がおもしろければ、俳優さんがその役の魅力を十分に引き出してくれるし、撮影現場も楽しい雰囲気になりますから。

古沢良太(NTTコムウェア/コラム

既存の脚本の形式にとらわれない、漫画に近く小説にも近い形の表現方法を生み出したくて模索中です。今の時代は個人でもネットを通して発信や発表がしやすくなりましたから、脚本という手段以外に、もっと効率よく自分のやりたいことを実現できる表現方法があるんじゃないかと思っているんです。すごく漠然としていますが、僕が持っている「おもしろいことを思いつく」力を100%出し切れるような「何か」をずっと求めている感じですね。

古沢良太(NTTコムウェア/コラム

脚本家も昔はプロに弟子入りするところからのスタートだったと思いますが、今はネットで作品を発表することができるし、内容がおもしろければ共同作業者を募って映像化もできます。やりたいことに情熱を注ぎ、それが利益につながれば一番いいですよね。今はアイデアさえあれば、自分からチャンスをつかめる時代だと思いますよ。

古沢良太(NTTコムウェア/コラム

私はいつもテーマを最初に決めるのではなく、「こんな人を書こうかな」と考えるところから始めます。今作(『そして、バトンは渡された』)の場合、「多くの人の愛情を受けて育った、不幸ではない子」を主人公にしようとまず考えました。

瀬尾まいこ(文藝春秋5月号・本屋大賞受賞インタビュー

恋愛ものと恋愛がメインじゃないものの場合、「白夜行」なら犯罪、「義母と娘のブルース」なら家庭というテーマが先にあって、恋愛が後です。恋愛以外のテーマから考えてそこから恋愛を展開して行く作り方をしています。例えば刑事もので「付かず離れずな感じだけどある時恋に落ちる」とか、「犯人に恋してしまう」とか色々な展開があると思いますが、何を共同作業としてさせるか、どういう一面を見せるかなど作りながら見つけていくという感じです。何かを達成しながら恋愛を育むという方が書きやすいです。恋愛だけ書いている人は尊敬します。

森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー

▼オリジナル作品の作り方は?
プロデューサーから「こんな話をやりたいです」とお話を頂き、それを受けて手段や方法を提案することが多いです。
『ごちそうさん』はどういうところから企画を立てていったかというと……最近の朝ドラでは「女性が目標を持って何かを達成する」というのが定型になっていますが、「今の女の子には目標達成は最上の幸せではないのでは? 違う幸せのモデルを描けないか?」という問いかけがプロデューサーからあったんです。そこで名もなき夫婦の幸せな毎日そのものを目標・テーマとするという方向性が定まりました。そこに料理というモチーフが加わり、主人公の夫である悠太郎の職業を考えたとき、人間の生活でまず大切なのは料理(食事)、次に大切なのは住居だから建築関係の仕事にする、など夫婦の形でまた違った意味を発信することが出来るようにしました。
企画は本当に小さな種で良いです。一人でそれを大きくしていくことが出来る人も居ますが、私自身は「最近こういうことあって……」とか「こういうことを思っていて……」とか、人と話すことで大きくなることが多いですね。

森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー

キャラクターが動かなくなってしまった時は、私の師匠の遊川和彦さんから言われた「煮詰まってどうしようもなくなったら、このキャラクターが絶対にやらないようなことをやらせてみなさい」という言葉を思い出します。それによってお話が一気に動いたりすることもあります。

森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー

伏線には2種類あります。1つ目は張ろうと思って張っているもの。2つ目は執筆を進めて中盤になってきて、前に登場人物のしていたこと、言っていたことなどを振り返って回収するものです。こうすると、結果的に伏線を回収することが出来ます。私はどちらかというと、後者が多いですね。
伏線を張るのには技術が必要です。自分ですごく巧妙に出来たと思っていても視聴者の方に先に読まれてしまうこともあります。それよりも振り返ると結構いろいろなネタが落ちている。自分で読み返して拾ってくることが多いです。

森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー

▼日々の生活の中で脚本家として心掛けていることや気を付けていることは?
インプットはあちこちでします。面白い記事があったらプロデューサーに共有しますし、ドキュメント作品などもキャラクターの宝庫なので見た方が良いです。漬け込んでおくネタとしては、キーワードみたいなものをメモしています。例えば、「とんぼを切る」という言葉。歌舞伎の名もない役者さんのする宙返りのことなんですけど、とんぼをたくさん切って体を壊して引退する人もいるんです。引退後の保証もなく、それでもひたすらとんぼを切り続けて舞台を去っていく人がいるという話を聞いた時に、このキーワードだけでお話が出来るんじゃないか、と思いました。

森下佳子(ヒットクリエイトMeeting!トークショー

どんなにかっこいい絵を描けても、物語を持った者には歯が立たない。物語を持っていることが必殺兵器になる。アイデア、新発見は日常の世界にある。アニメやマンガは物語を表現する上での媒体でしかない。アニメの勉強だけしていても作家にはなれない。

富野由悠季(宝塚大学東京メディア芸術学部・特別講演

さまざまな仕事を、どう選択してきたのか。それは、自分が新人になれる場所を探す、ということです。「どうなっちゃうんだろう、これ」みたいな不安から始まって、分からないことを分かろうとするプロセスの中で、決定的なことを見つけて生み出していこうとしています。

『仕事。』という対談集で、宮崎駿さんや坂本龍一さんなど、巨匠たちに「30代の頃、何をしていましたか?」って聞いて回ったんです。そしたら皆さんに割と共通点があって。人から突拍子もない企画を振られたり、偶然やる羽目になったりした時に、ブレークスルーがあることに気付いたんです。なので、「できないです、無理です」と言いながらも、そのことについて考えているうちに、斬新なアイデアを思い付く。やり始めると誰よりもムキになって頑張って、やがて新しいところへたどり着く。「自分のやりたいこと」にこだわる今のトレンドとは逆かもしれないですけど、「僕はこれをやりたい」と選んだ道は緩やかな下り坂な気もしていて、むしろ過剰に主体性を持たないほうがいいんじゃないかと思っています。

川村元気(Yahoo!ニュースインタビュー

「自分の見たいものを作る」と決めています。
見たいものは、二つあるんです。一つは『集合的無意識』。みんなが感じているけれど、なぜだかまだ表現されていないもの。もう一つは、最先端のテーマを古典的な手法でやること。そういうものは、ユニバーサルに届くんじゃないかと思っています。

川村元気(Yahoo!ニュースインタビュー

昔と違って「恋愛」のプライオリティーが1番という時代ではないし、皆が同じ価値観じゃなくて良くなった。そうなると、地上波の、とくにゴールデンタイムのドラマは難しいんだよね。なるべく最大公約数の価値観を見せて、視聴者を取りこぼさないようにすることが優先されるから。

野島伸司(マイナビニュースインタビュー

僕の書き方は、まずだいたいどんな話をつくるかという、例えば、テーマとなる問題が一つ先にあって、その次に入るのはやっぱり登場人物の配置と、その人物たちの造形ですね。登場人物の背景にある過去を「大履歴」「中履歴」「近履歴」の三つに分けて、つくりこんでいくということを習慣にしています。そうでないと、“根っこのない木”になってしまう。

かつて映画プロデューサーのマキノ光雄さんが、「この映画は『ドラマ』があっても『チック』がない」と言いました。ドラマチックという言葉を分解したんですね。僕は、テレビドラマこそ「チック」が重要だと思っているんですよ。要するに映画はドラマ、つまりストーリー展開を主体に見るんですが、テレビの場合は細かなニュアンスの積み重ねで成立している気がするんですね。
いまはテレビもストーリーを追うものばかりになっていますが、僕は人間を見たいから、人間から入る。その人の立ち居振る舞いや言葉遣い、そこから人格とか奥ゆかしさとか、そういったものが伝わるでしょ。

倉本聰(Yahoo!ニュースインタビュー

脚本を書くときに気をつけているのは、登場人物のなかに自分を〝いないように〟するということです。僕自身が思っていることではなく、あくまで、登場人物たちの言葉や考えであること。自分をどこかに置いてしまうと、それと敵対するものが出てきてしまう。そういうバランスがあまり好きではないので、基本的に自分はいなくていいと思っています。

登場人物の全員に対してフェアでいたい。全員の気持ちをフェアに考えたいんです。今回のドラマでも、主人公に苦言を呈する人を嫌なふうに描くのは簡単なんですが、その人の言っていることも真っ当だと思えるふうにしたいんです。

岡田惠和(文春オンラインインタビュー

倉本聰さんのエッセイで、「前日が見える芝居」という表現があるんです。その登場人物の前日というのは、台本にはほとんど書かれていないんですが、なんとなくその設定が感じられたりとか、見えたりする、それがいい芝居なんだ、と。桜井ユキさんのお芝居には、そういうものを感じさせる力があります。この人が前日も生きていて、このシーンだけ切り取ってやっているわけじゃないんだよ、というものが。

森下佳子(文春オンラインインタビュー

アイデアは、私たちの日常の中に溢れています。それをどう正確にキャッチして拾い上げるかが重要です。そのためには、絶えずアンテナを張っている必要がありますね。どんな傑作でも、その出発点は身近なところから始まっています。アイデアをただひたすら待つのではなく、自分の状態を敏感に保つことによって、日常に溢れるアイデアを捉えることが出来るのだと思います。

ポン・ジュノ(CINEMOREインタビュー

感情の種類やジャンルの感覚から、私はあまりアプローチしないですね。いつもシチュエーションだけを考えます。こういうことが実際に自分に起きたら、どうするだろうかと。それが実際の事件であると考えたり、3年前にソウルで起こったことだと考えたりして、あたかも実際の事件を、自分が自分を取材しているかのようにアプローチします。なので、これはコメディか? ホラーか? という形で自作を振り返ることはあまりしません。そのせいで、マーケティングチームはいつも苦労しています。「監督、このジャンルは何ですか?」と聞かれるんです。

ポン・ジュノ(ポン・ジュノ監督×是枝裕和監督 スペシャル対談

『パラサイト』でも雨のシーンは後半部で重要な意味を持ってきます。同じ雨でもお金持ちが住む街と貧しい人が住む街では全く違う事態が起きます。そのシークエンスで人物が高い所から低い所へ、お金持ちの住む街から貧しい人が住む街へと移動するのに、雨も一緒に移動していくんです。

ポン・ジュノ(ポン・ジュノ監督×是枝裕和監督 スペシャル対談

観客が映画館の椅子から背を浮かせる瞬間というものが、ありますよね? そういう瞬間を作りたいと、いつも思っています。私の映画の2時間の間、300人の観客が誰ひとりとして携帯電話を取り出さない、そんな状況を作り出したいという欲です。

観客の息が苦しくて耐えられないくらいの限界まで引っ張って、ある瞬間に何かが弾けた後は、繰り広げられる状況が急激に滝のようにあふれ出て、追いかけていくのも息が詰まるような、そんな急激なテンポの変化。シナリオを書きながらも、そのリズムはよく考えます。

私はシナリオを書くときに、このシーンで観客を笑わせたいという目標のようなものは全くありません。俳優たちも「ここは笑いのポイントだ」といったアプローチはしません。俳優さんたちは、「事実」に沿ったトーンを演じる、いわば表現に余裕がある俳優たちです。

ポン・ジュノ(ポン・ジュノ監督×是枝裕和監督 スペシャル対談

人は、自分に都合が悪いことはウソだって言う。そして自分に都合がいいことは、真実だ、事実だって言う。その人数が多ければ、それが事実になっていく。コンフィデンスマンが登場する『GREAT PRETENDER』は、それを逆手に取っている人たちのお話です。

古沢良太(ライブドアニュースインタビュー

セリフはそのキャラクターを表現するものだと思うので、人物像が浮かび上がるような……「こいつだからこういう言い方をするんだ」というセリフになるように書く。

古沢良太(ライブドアニュースインタビュー

▼脚本家に求められる資質とはどんなものだと思いますか?
脚本家に求められる資質は……いっぱいありますけどね。脚本を書くのはすごく孤独な作業です。ひとりで自分の世界に深く潜って、ものを作っていく。そういう孤独な時間を楽しめる人ですね。

それと矛盾するんですが、脚本は共同作業でもあるんです。脚本家はみんなで作っていく作品の設計図を描く人なので、ちゃんと他人の意見を取り入れ、みんなと仲良くやっていく。その両方ができる人。

客観的な意見を聞いて、自分が書いたものを見直し、関わっているスタッフが前向きに作っていけるものに昇華させていく。最初に自分が書いたものにこだわりすぎるようなつまらないプライドとかはいらなくて、その過程を楽しめるほうがいいと思うし、二面性が必要なんじゃないでしょうか。

古沢良太(ライブドアニュースインタビュー

たった数分のシーンなのに、1日かかっても書けない。気持ちはすごくあるのに、話しがどんどん横にそれていってまとまらない。 そんなときは、シーンに盛り込みたいことを箇条書きにすることにしています。登場人物が3人いるとして、それぞれがこういう状況にあって、この人のこういう発言によって、状況がこんな方向に変わっていく――。

いったん因数分解して、頭をクールにしたうえで書き出すと、あら不思議。こうすればここにたどり着くんだというのが見えてきます。脚本家を30年以上やってきて、やっと分かってきました。

中園ミホ(NIKKEI STYLE

壁越しにしか大学の人と話せなくなり、部屋が狭くなったので大人数で押しかけられなくなったそうです。これをシンボリックにドラマに持ってくると、描こうとしているものが描けるんじゃないかと思いました。

渡辺あや(ハフポストインタビュー『ワンダーウォール 劇場版』

私たちも歳を重ねれば、経済的に役に立たない存在になります。社会に生きる私たちが非経済的なものを否定するというのは、いずれそうなる自分を否定して呪いをかけるようなものだと思うんです。

古いものや場所、そういうものを守っていくというのは、いずれ古くなる自分たちを守ることでもあるはずです。そういうことが認識されないまま社会から無駄が省かれていくと、私たちの社会はどんどん生きにくいものになってしまう気がします。

誰だって経済だけに育てられたわけじゃないはずです。人間とはどういうもので何が必要なのか、根っこの部分から考え直していかないと、理屈の上での合理性が常に勝ってしまうと思うんです。

こうしたことは何も今を生きる私たちがはじめて直面しているわけじゃなくて、人間が歴史の中でずっと考えてきたことのはずです。そういうことを学び、思い出していく作業が大切かもしれません。

渡辺あや(ハフポストインタビュー『ワンダーウォール 劇場版』

相手が生産性しか考えていない場合、人間とはどういうものかを訴えてもなかなか通じないかもしれません。

でも結局、その人も人間ですので、どこかに糸口はあるはずです。問題意識を持って作品を作り、それが共有されれば、また人を信頼できるようになっていきます。そうすれば、目の前の人を私はやっぱり大好きなんだと思えてくる。そういうことをこれからもドラマで描いていきたいです。

渡辺あや(ハフポストインタビュー『ワンダーウォール 劇場版』

『TENET テネット』クリストファー・ノーラン監督インタビュー

明確な説明を脚本に落とし込まなければならなかったため、執筆の段階も難しく、編集の段階でもとても難しかった。なぜならそれは“何が起きているのか観客がストレスなく理解できること”と“ストーリーの勢いをキープすること”のバランスを取ることだったから。
ルールについて語ると勢いを殺すことになりがちだ。だから、ルールをアクション/ストーリーを通して説明する方法を見いだすというのが、本作の制作において僕たちが引き受けることになった困難な挑戦だった。僕たちがそのバランスを達成していて、ほとんどの観客に作用するものになっていればいいのだけれど。
でも、やっぱり難しいよ。人間は“どれだけ説明されたいか”という点でそれぞれに差があるし、むしろ僕たちは皆、実際に経験する方を好ましく感じると思う。だけど、ストーリーのジェットコースターに乗るにはちょっとした情報が必要だ。だから全てはバランスだね。

たくさんの実験を何度も何度も繰り返すことでそのバランスを見つけるんだ。
僕は脚本を書いては書き直してということをケタ外れに何度も繰り返した。キャラクターたちが物事を説明しようと互いに話すシーンは特にね。
そして編集にはものすごく時間を掛けた。バランスを強化しようとやったことの一つは、シーンをカットする前に映画全体を観るということ。僕たちはそれらを一つ一つのシーンではなく、映画全体の文脈として観ていたんだ。そうしてストーリーの勢いという観点から、今は立ち止まってちょっと話を聞くものにするべきなのか、もしくは物事をどんどん進めてそこに参加させるものにすべきなのかを考えていった。

脚本執筆前に、時間の逆行についての確固としたルールは作らなかった。基礎は作ったよ。その後にやらないといけないのは、物語を意味があり、うまく作用するものにすること。その時に確固としたルールが必要になってくる。『インセプション』を書いた時もそうだった。
僕は、自分が作り上げるルールを制約ではなく、可能性として見るようにしている。どのような特定のルールがそのストーリーを僕に語らせてくれるか、どのような特定の興味深い指示が僕を限界に挑ませてくれるかとね。

例を挙げるなら、本作で扱っているアイデアの一つは“エントロピー(※熱学上の概念)&世界vs.エントロピー&個人”の関係だけど、これは執筆を始めた時に考えていたわけではない。だけど『インターステラー』でも共に仕事をした偉大な物理学者キップ・ソーンと時間に関して議論をするうちに、本作においてとても重要なストーリーの要素となる“エントロピー&世界”そして“世界の時間の向きvs.個人”というアイデアが出た。そしてそれによって、僕が予想もしなかったような非常にドラマチックなシチュエーションを生めることになったんだ。つまり、ルールとストーリーは、本作を作り上げるにあたって同時に発展していった。

クリストファー・ノーラン(シネマトゥデイ

■『MIU404』企画成立の経緯
TBSの磯山さんから「アンナチュラルチームで新作を」「野木さんはずっと女性ドラマを書いているので次は男同士のバディものにしては?」と言われた。《中略》機動捜査隊は常にバディで行動するので、じゃあそれで考えてみようかとなった。

■『MIU404』架空の部署に設定した理由
現実の警視庁は1~3機捜まであるが、どこも大所帯でその全体を見せるのは大変。架空の部署の方が現実に遠慮せずある程度フィクションとして描ける。『アンナチュラル』よりもフィクション度を上げようと思っていたので架空の設定にとお願いした。

■『MIU404』創作で意識した作品
海外のバディ作品『刑事ナッシュ・ブリッジス』『48時間』『リーサル・ウェポン』シリーズなど、観た当時の記憶を手繰り寄せた。あとはBBC版『SHERLOCK』こちらも記憶の範囲内。刑事ドラマ内のジャンル分けとしては『踊る大捜査線』寄りの警察ドラマ。

アイデアのストックは貯めてもすぐに古くなります。《中略》社会問題を扱うのは軽い気持ちではできないし、全方位に気を使うので大変です。現実の社会問題を雑に扱って実在する被害者を傷つけるようなことは避けたいので、実在の事件をそのまま使うようなことは基本しません。

■『MIU404』第4話について
「眼」は後から思いついたモチーフです。塚原さんが「薬局で働いてる友人が、銃で撃たれた人が止血してくれって入ってきたらしい」というエピソードを話してくれて、「その導入すごいな」というところから。

4話で苦労したのは、機捜を事件にどう絡ませるかという部分でした。監修の元機捜の方達に、「これなら関われるか」「これはあり得るか」というのを何度もしつこくヒアリングして、組対・機捜・機捜の隊長・刑事部長の4者の動きを現実的にあり得るラインまで持っていくのが大変でした。

テーマやモチーフにどう向き合うか……脚本を書く時には常に何かしらの手がかりを自分で見つけ、それを元に書かないと書けません。《中略》脚本家によるとは思いますが、自分の場合はプロットから全て自分で作らないと気が済まないし、自分なりのテーマやモチーフが掴めないと書けない。

野木亜紀子(月刊ドラマ11月号インタビュー

『俺の話は長い』を書き始める前にはこの長丁場に耐えられるようにと半年間、月に100キロ以上の走り込みをし、フルマラソンの大会にも出ました。その大会を走っている最中に、ドラマの主人公である岸辺満が「ランナーと逆行して就職の面接に向かう」という最終回の構想が浮かびました。

これまで書いてきた作品では最終回の直前まで自分でもどんな結末になるか分からないまま書くことが多く、それを良しとしてきた所もあったので、『俺の話は長い』第1話の段階から最終回のイメージを持って書くというのは初めての体験で新鮮でした。

初めてと言えば《30分2本立て》という新しいチャレンジをした作品でもありました。最初は「面白そう」と気楽に考えてましたが、話のネタとオチが通常の1時間ドラマの2倍必要で、アイデア出しには本当に苦労させられました。

金子茂樹(『俺の話は長い』向田邦子賞・受賞コメント/月刊ドラマ

■『MIU404』について
元警察官の方など、通常より多い4人ほどの監修者についていただき、勉強になりましたね。それぞれの年代、いた部署によって見方も違いましたし、そのお話が興味深かったです。例えば、警察には無線大会、職質大会などいくつか大会がありまして、それを入れるつもりで取材していたのに話数が減ったことで描けなかったのは残念です。ただ、刑事ものはやっぱり大変。現実にありえるラインでエンタメとして構築するのには苦労しました。

脚本家から見ると、完成度では『アンナチュラル』の方が高く、図形で言えば正円のイメージ。今回はその円からけっこうはみ出しているんですよ。でも、そのはみだしが勢いとか面白みになって、それはそれで良かったと思いますね。飛び出しの多いドラマ、それが『MIU404』でした。

■今後NHKの朝ドラや大河ドラマを執筆する可能性は?
半年や1年にわたる帯ドラマも、その長さを使って書きたいことが見つかればやってもいいけれど、それがなければ書こうとは思わない。もしやっても息切れするだけだと思うんですよね。やる気が感じられないものを長く見せられる方も苦痛だろうし。枠のステイタスよりも、描きたいものに合う枠で書いていきたいです。

野木亜紀子(ドラマアカデミー賞・脚本賞受賞インタビュー

僕らが仕事で物語を創作するときは、脚本段階で主人公に次から次へと苦難や試練を用意します。それらをどうやって突破するかをスタッフがアイデアを出し合って、面白く力強い物語を生み出します。
アイデアが生まれず悶々としたり、暗礁に乗り上げたりと難航することも茶飯事だけれど、三度の飯よりそれが楽しくてしかたがないから何十年も続けられています。もしも世界が滅びそうなときに、主人公は魔法や特殊能力を持たず、救世主たりうる美少女の友だちも持たず、かといってここで万策尽きるわけにもいかないとしたら、何を武器に闘って生き延びるのか。そんなアイデアばかりを寝ても覚めても、犬と散歩をしているときにも妄想しています。

P.A.WORKS代表堀川(設立から20年間を振り返って

『MIU404』は結局、ドラマとして「巨悪」をやりたくなかったんですよ。それは、日本の刑事ドラマって、最後はすべて巨悪に向かっていくということが多くて。なので、自分が刑事ドラマをやるときは、やりたくないと思っていたんです。実はオンエアでは尺が足りずカットになってしまったんですが、ディレクターズカット版の最終話で志摩が「確かに警察は組織もデカいし、悪いやつらもいるかもしれないけど、末端の自分たちはルールの中で出来る限りのことをやってるんだ」という話をしています。

『MIU404』は、末端の刑事たちを描くことで、「こうあるべき」という姿を見せるドラマにしようと思っていました。今までの刑事ドラマで「巨悪」を描いてきて、結果どうなったかというと、社会は変わらなかったし、権力側の不祥事を見ても「ああそんなもんか」といつの間にか慣れてしまってたんじゃないかと。それよりも、ルールは絶対に守る、公文書は破棄しないという、本来あるべき姿を描いていれば、それが当然だという空気になるかもしれない。

もし実際の社会に、ルールを破る警察が出てきたり、公文書を破棄する官僚が出てきたら、「それはダメでしょう」という空気になるだろうと思うからこそ、私は、そっちの方を描いたし、むしろ今はそのほうが意義があると思ったんですね。

野木亜紀子(マイナビニュース・インタビュー

人はどうしてこんなとき悲しいのか、どうしてこんなことをするのか……。登場人物は架空の存在ですが、作るのは生きている人間の作者です。そこには作者の経験や思い、願いが込められています。だから人間への興味がないと、小説を書くのは難しいと思います。

日ごろから、見たものや感じたものを、もやーっとしたままにせず、頭の中だけでもいいので言葉にしてみるといいと思います。また小説や漫画、映画などの好きな登場人物の1日を、自分なりに想像するのもいいかもしれません。

小説や漫画、映画などたくさんの創造物に触れてください。そして楽しんで書いてください。絶対に無理はしないで。最後まで自分が思うとおりに書ききれなくても構いません。諦めずに、次に思いついたものがあれば書いていきましょう。焦る必要はありません。

三浦しをん(毎日新聞/三浦しをんさん流「小説の書き方」

■NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』執筆秘話/脚本家・小林靖子
原作はどれも短編で、49分のドラマにするにはどれも短いため、全話を通して1本の物語とする縦軸をつくり、オリジナル要素も入れつつ、物語全体を再構築しました。今回はNHKの地上波で、子どもから大人まで幅広い層の方が観る、原作漫画やアニメを知らない方も観る、ということを前提に、主人公の岸辺露伴がどんな人物なのか説明するシーンも必要です。そこで第1話『富豪村』の原作に出てくる露伴の担当編集者・泉京香(飯豊まりえ)を全話に出したいと提案しました。そのほか、実写に即した描写へ変更する際も、“ジョジョ”の世界を壊さないように、相談しつつ進めていきました。

子どもの頃からアニメや仮面ライダー作品を観て育ってきたので、キャラクターをどう見せていったらいいか、子どもの頃から刷り込まれているんでしょうね。商品化される玩具を取り入れたストーリーを考えるのは得意ですが、恋愛小説を書けと言われたら書けないかもしれないです。そもそも文章を書くことが好きではないですし…

文章というか、小説の地の文が苦手。せりふを考えるのは好きなんです。だからシナリオは書ける。ト書きには美しい文章や独特な表現はいりませんからね。小学生の頃からノートにせりふのやり取りだけを書いて、脳内で映像化して楽しんでいました。作家や脚本家は自分の表現したいことや自分にしか書けないものを持っているイメージがあるのですが、私はそういうタイプではないんですね。だから自分のことを作家とも脚本家とも思っていないんです。強いて言えば“脚本士”。作品やキャラクターの魅力を映像的にどう伝えるべきかを考えて、これまで培ってきたシナリオライティングの技術を駆使してそれを実現する。そこに自分らしさは必要ないというか、全く意識していないですね。

小林靖子(ドラマ『岸辺露伴は動かない』執筆秘話/ORICON NEWS

最もたやすく人々の興味を引くには、ある時、ある場所で、何かをしようと試みている人物を見せることだ。失敗すれば即死、という試みを。

ハリー・フーディーニ

良いアイデアを得る最良の方法は、たくさんのアイデアを持つことだ。

ライナス・ポーリング

壁なんて弱虫の戯言さ。カッコいい言葉だけど、そんなの酒を飲みに行く口実だよ。

スティーブ・マーティン

まず書け。心配は後でしろ。

ネッド・ローレム

物語の構成やプロットを書くのは、自分が神様みたいな客観的な視点でキャラクターの運命を決める作業。逆に、シナリオは肉声を書くので、キャラクターになりきって主観的に目の前にあるものに対してどう思うか、何を言うかを考える作業。その差は意識するようにしています。

花田十輝(アニメ脚本家の実像に迫る/花田十輝インタビュー

脚本を書いたのは15歳のとき。もともと俳優になりたかったのですが、家族が映画業界にいたので、恥ずかしくて言い出せなかったんです。「演じることに正当性を持たせるためにはどうしたらいいか?」と考え、まずは書くことからはじめ、19歳で映画にする決心をしました。

スザンヌ・ランドン(AERA dot.インタビュー

黒澤明にはシナリオについての哲学がある。
「仕事は一日も休んではいけない」
彼にいわせればシナリオを書く作業は、42.195キロを走るマラソン競走に似ているという。頭を……顔を上げてはいけない。目線はやや伏せ目で、前方の一点を見つめ黙々と走る。こうして顔を上げず、ただひたすら走り続けていればやがてはゴールに到達する。

出典:橋本忍『複眼の映像:私と黒澤明』

黒澤さんは映画についての法則や理論を好まず、一切口にしない。その彼が珍しく『映画評論』に寄稿した一文がある。映画は他の芸術の何に似ているかで、彼は一番よく似ているものは音楽だという。音楽は感覚を聴衆に伝えるだけで、何かを説明することが出来ない。

映画も同じで、説明しなきゃ分からないことを説明しても、映画では観客には分からず、説明は一切不可能であり、その本質的な部分で、両者はひどくよく似た共通点があるという。

黒澤組の共同脚本とは、同一シーンを複数の人間がそれぞれの眼(複眼)で書き、それらを編集し、混声合唱の質感の脚本を作り上げる――それが黒澤作品の最大の特質なのである。

出典:橋本忍『複眼の映像:私と黒澤明』

『里見八犬伝』もそうなんだけど、ああいう作品は味方が集まるまでが面白い。集まっちゃうと…… 同じような話が続いてつまらない。あとはボスを倒すだけのストーリーになる。だから『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、味方がなかなかそろわない。そろいそうになった瞬間に、また誰かがいなくなる。

時代は変わっても人間の本質は変わらないから、結局は面白いものが求められる。これは、半ば願望でもある。変わらないでいてほしい。そうでなきゃ、世の中どんどんつまらなくなっていく。時代に合わせたといえば、規制を逆手に取って面白くしてるところかな。
今は劇中で酒もたばこもダメ。だから苦肉の策で“空想の酒”というのを出した。猿原って男が存在しない酒を、あるかのように飲み続けるという……、でもそれが結果的にキャラを強くした。マイナスをプラスに変えるのも脚本家の腕の見せどころかな。

井上敏樹(脚本家・井上敏樹が語る、“常識をぶち壊す”物語の秘密

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